貧者の一灯 ブログ

信じれば真実・疑えば妄想

貧者の一灯・THEライフ














新型コロナとの共存の時代に突入 したいま、
社会が目をそらしている 事実がある。深刻
なネット依存と ゲーム依存で、子供たちが
明らか におかしくなっていることだ。



※… ゲームで言葉が喪失される


ゲーム依存になった子供たちは、様々なリスク
にさらされる。


脳機能において一般的に指摘されているのが、
「前頭前野の機能の低下」「脳の情報伝達の
機能低下」「ゲームに関する過剰反応」「刺
激の過剰欲求」などだ。


長い期間、ゲームの世界にのめり込むことで、
脳機能がゆがめられていくのである。


ただし、多くのゲーム依存の子供たちと接して
いて、全般的に共通するのが、「言葉の力の低下」
である。


子供たちの中にはリアルの世界がつらくなり、
現実逃避としてゲーム依存になっている者が少
なくない。


彼らはゲームの世界に鳴り響く、振動、音、操作
に没頭することで、現実で起きていることを考え
ないようにする。


これは、子供たちが言葉によって現実と向き合う
のを避けていることに他ならない。


言葉によって何が起きているのかを考え、言葉に
よって解決策を見いだし、言葉によって未来を
切り開いていくことを放棄しているのだ。


それが何ヵ月、何年も継続されることで何が起
こるのか。それが言葉の喪失なのである。


実際にゲーム依存の子供たちには次のような特徴
が見受けられる。 ・「死ね」「クソ」「大丈夫」
のような言葉を吐き捨てるだけで現実と向き合わ
ない。


・対話のキャッチボールができない。 ・何がし
たいのか、何が問題なのか、何が苦しいのかを
答えらえない。



※…もうリアルではやっていけない


人間にとって言葉は、現実と向き合って、状況
を理解し、未来へと歩を進めていくための重要
な武器だ。


彼らはゲームに没頭する中で、その力を失って
しまう。だから、医療機関等へ連れてこられた時、
言葉が機能していない状態になっているのである。


診断の際に、質問に答えることができないとか、
会話の中身が破綻しているといったことだけで
なく、言葉そのものが口から出てこないといった
ことさえある。


取材した高嶺病院(山口県)では、直近で入院
した子供たちにWISCというテストをしている。


IQを言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、
処理速度の4つに分けて測るものなのだが、おし
なべて言語理解が他に比べて低くなっていたの
である。


同病院に勤務する公認心理士は次のように語っ
ていた。


「ゲームの世界では、ゲームをすることにおい
ても、ボイスチャットをすることにおいても、
高度な言語理解力は必要ありません。


でも、リアルのコミュニケーションではかなり
高いレベルが要求されます。


実際に入院してきた子供たちと話をしても、これ
じゃリアルの世界ではやっていけいなって感じる
ことも珍しくありません。


まず、自己紹介ができる子がほとんどいません。
それに入院生活で嫌なことがあっても、つたえ
られないし、解決策を考えられません」


このため、入院してすぐは、子供たちの言葉を再
生させる取り組みが行われる。


マジカルバナナを行って言葉で物事を考えたり、
言葉を発したりする練習をするとか、工作や運
動をすることで自分の中の楽しいとか面白いと
いった感情と向き合わせるといったことをする
のだ。


そんな初歩的なところから行うのかと驚くかも
しれない。逆に言えば、それだけ彼らば言葉を
失ってしまっている状態にあるということなのだ。



※…アルコール依存より脱出が難しい


子供がゲーム依存から回復するためには、リアル
の世界の問題と向き合い、そこで生きがいを見つ
け、未来を思い描く必要がある。


それをするために子供たちが獲得しなければなら
ないのが言葉で考え、表現する力なのである。


ゲーム依存から子供たちをどのように回復させて
いくのか。それと強調したいのは、ゲーム依存に
なる子の多くが現実に困難を抱えている者たち
であるという事実だ。…










※…
ツゥルルルル。受話器を取った私の耳に、 友人
Nの悲鳴が飛び込んできました。


「お願い、一生のお願い!  うちの悟、半年預
かって!」


中学からの親友Nは、若くして結婚、離婚を経験
した一児の母、 そしてバリバリのキャリアウーマン。


半年間の海外研修に、彼女の今後がかかっている
とのこと。


「なによ突然、私だって仕事あるのよ。猫の子預
かるんじゃないんだから、それに……」子供を預
かることの重さに加えて、私が戸惑ったのは、小
学校5年生になるその子は、言葉も喋れないほど
極度に内向的な性格の登校拒否児だったのです。


「あの子は自分で何でもやるし、とにかくおいて
てくれるだけでいいから」 そう言って、結局Nは、
悟君を私に押し付けて、海外へ旅立っていきました。


驚いたことに、悟君は、Nの言う通りに、 まった
く手のかからない子でした。


Nから預かったお金で、勝手に買い物をし、 勝手
に食べ、眠り、そしていつもテレビを見ていました。


笑わず、泣かず、感情を表わさないその虚ろな目は、
私には不気味に映りました。


何が彼をそうさせてしまったか……、 都心のマン
ションで、幼い頃から独りぼっちで生きてきた。
彼の生活を思うと、それは想像にあまるものがあ
ります。


ただ一つの彼とのコミュニケーションは、電話で
した。 一回コールの合図で、電話を取った彼に、
用件を伝えると、 彼は受話器を叩いて、コツコツ
と了解のサインを送るのでした。


きっとそれはNとの間での決まり事だったので
しょう。 そのコツコツという音は、切なく悲し
い音に、 私には伝わってきました。


子供を抱えて、生きていくことに精一杯だった
Nには、 その音が届かなかったのか……それと
も、私の思い過ごしなのか。


コードを通したその音は、彼の唯一の感情表現で、
「寂しい、寂しい」と言ってるように、私には聞
こえたのです。


いつからか私は、できるだけ早く家に帰っては、
彼の前に座って、一方的に話をするようになり
ました。


学生時代のこと、楽しかったこと、悲しかったこ
とetc……。


うつろだった彼の目が、少しずつ変わってきた気
がしました。 そして、長いこと一人暮らしをして
いる私にとっても、 その時間が、自分を見つめ直
す大切な時間となったのです。


そして半年たち、悟君はNの元へ帰りました。


ある日のこと。 気抜けしたような日々を送る私
のところに、 一本の電話がかかってきたのです


受話器の向こうから「コツコツ……」という、
懐かしい音が聞こえてきました。


「悟君?悟君ね……どうしてる?元気?」


あわてて喋りまくる私に、思いもよらぬ答えが
返ってきたのです。


「ぼ…く…ね、また、がっ…こうに、いって…
んだ。  


おばさんの…はなしを…きいて……いきたくなっ
たんだ」


初めて聞いた悟君の声に、私は胸がつまって、
言葉が出てきません。


「おばちゃん……きこえてる…おばちゃん?」
私は、言葉のかわりにサインを送りました。


「コツコツ……」と。…






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