貧者の一灯 ブログ

信じれば真実・疑えば妄想

貧者の一灯・特別編


















※ 雄太が恋しくて


雄太が恋しくて 色んなことを思い出す。
何かキーワードがあって、ドッと落ち込む。
そこから立ち直って元の生活に戻るまでが、
なかなか大変。


今まで触れないようにしていた部分に触れて
しまったり、触れないまでも近づいてしまった
りして、負のスパイラルに巻き込まれ抜けられ
ない。


苦しくなると誰かに助けてもらいたいと思う。
今までだと、友達に助けを求めることになる
のですが、最近、雄太を思う。


「傍にいてくれないかな~」 なんてね。


将太がいつも、いてくれているのに、この頃
は雄太に会いたくなったり声が聞きたくなっ
たりする。


会うとそれほど、係わりを持とうと何かする
わけではない。サラッと、いつも通りを装っ
て過ごしてしまう。


聞きたいことが聞けず大事な話がきちんと
できないで、帰してしまうことになる。


帰った後に後悔する、


もっときちんと聞いておけば良かった。
話したかったことが後からあふれてくる。
何だか頼りたい甘えたい、雄太に…。



※…生きていく意味


「どうして、生きているんだろう」 そう考えて
ばかりだった。


突然の別れから三年くらいは、私の頭の中は
いつも、この言葉でいっぱいだった。


きっと、すぐに自分も死んで、パパのところ
へ逝くんだろうなと勝手に思っていた。


まだ一人前とはいえない二人の息子がいる
のに、パパが寂しくて、私のことを呼ぶんだろ
うなと想像して過ごしていた。


自分がいなくなった時に困らないように色んな
ものを直したり片づけたりバタバタとやっていた。


そんな中で一緒に暮らす将太に「もしもママが
死んだら」なんて話をしてタイミングが悪かった
せいでゲロゲロ吐かれた。…


「どんな時でも、生きる努力をして欲しい」と
将太に言われ「簡単に死ねないなあ~」と
思った。


でも、それでも「なんで生きてるのか、私は
……」と考えずにはいられなかった。


ある時、見た映画が私を変える。


「あなたの中で生きる私にこれからの世界を
見せてください」「そして幸せになってください」


画面からこの言葉が飛び出してくる。何回も
何回もその言葉だけがリフレインする。


涙があふれて止まらない。そのことをきっかけ
に、ドラマ、映画、歌の中の、特定の言葉が
文字になって目の前に浮き出てくる。


「パパが言っているんだ」と気付く。


何だかすごく納得できた。 息子たちの成長、
私の身に起きること、見たこと、感じたこと、
私を通してパパも見て感じてくれているんだ。


私が生きている意味があったじゃないかと。


もう四年が過ぎようとしていた。心が張り裂け
そうに苦しい時、パパも苦しいんだろうな。
楽しくて笑っている時、パパも楽しいんだろうな。


自分の感情がパパと連動しているのでは、
と考えるようになっていった。


単なる思い込みかもしれないが「どうして、
生きているんだろうか」という自問自答から
解放されたようだった。


苦しいことがなくなったわけではないが、
家族、友人、そして時間が私の気持ちを
癒してくれた。



※…今までの、そして、これからの自分


今年(令和三年)三月、保育士の仕事を辞
めることになった。


今までに何回も辞めているので慣れたもの
だけど、今回は六十三歳という年齢もあって、
いつもの、辞める、とは意味合いが違って、
人生の大きな区切りを感じている。


結婚で仕事を辞めてからは、たまに手伝う
程度で毎日働くことはなかった。


それが、パパがいなくなったことがきっかけで
仕事復帰となった。


何かを成し遂げたというほどの仕事をしたわけ
でもないが幼稚園、保育園、こども園とトータル
すると二十五年くらいになる。


色んなことがあった。嬉しいことも悲しいことも
苦しいことも二十五年の中にたっぷりと詰め
込まれている。


今までの自分を思い返す時、お母さんの部分
を取り除くと保育士が残ると言ってもいいくらい
この仕事に思い入れが強い。


私イコール保育士なのだと思う。


これからの私はどうなるんだろうか。保育士で
はない自分が見えてこない。


この先、頼まれたらまた仕事をする可能性は
あるものの一旦リセット。


この先に、どんな自分があるのか見当もつか
ない。好きなことをして悠々自適なんて言われ
てもピンと来ないのが現実。


まずは定番の断捨離でしょうか。


思いを整理した次は物の整理になるのかな?
どっちにしても簡単には終わりそうもない。
先が長そうです。 …


つづく











※…言葉が人生をつくっていくー  


1冊2万円という手帳がある。見た目はデカイ。
バックに入れると重い。値段も高い。こんなの
買う人がいるんだろうか、と誰もがそう思うが、


これがなんと馬鹿みたいに売れている。とい
うか、馬鹿みたいな人たちが買っている。  


買った人はたいがい家族や友人から「あんた、
馬鹿じゃないの?」と言われるそうだが、その
瞬間、何とも言えない喜びを感じるのがその
手帳を買った人たちだ。  


「一発で元気とやる気と勇気があふれ出し、
人生が劇的に変わる下川式成功手帳」と
いうふれこみのこの手帳を偶然ネットで見
つけたとき、「おもしろい」と思って、つい
注文してしまった。


その後、この手帳の発案者である「しもやん」
こと、下川浩二さんと仲良しになった。 


誰も真似できないスゴ技だ。 彼自身が「あんた、
アホじゃないの?」と言われてVサインをする男
だった。  


しもやんのCDの中に、『涙の数だけ大きく
なれる!』の著者・木下晴弘さんとの対談
CDがあった。


その中に木下さんが、とあるハンバーガー
ショップに入ったときの話があった。  


その日は結構混んでいて、三つのレジに列が
出来ていた。木下さんは前から3番目に並ん
でいた。


バイトの女の子が「店内でお召し上がりですか? 
お持ち帰りですか?」とお客さんに聞いている。


どこのハンバーガーショップでも見られる光景
である。   


何を食べようかと考えていた木下さん、ふと
前のほうが騒がしいことに気がついた。


一番前の男性の声が怒鳴り声になったからだ。


どうも注文した商品の一つを入れ忘れたようだ。  
男性は「何しとんねん。トロイんじゃ、お前。もう
エエわ」と怒りをあらわにし、商品が入った紙袋
を奪い取るようにして店を出ていった。


その後ろ姿に向かって、バイトの子は「申し
訳ありませんでした。すみませんでした」と
何度も頭を下げていた。


一瞬にして店内の空気が刺々しくなった。  


2番目に並んでいたのは70歳くらいのおじい
ちゃんだった。


バイトの子は、今にも泣きそうな顔だったが、
無理やり作った笑顔で、「いらっしゃいませ。
こちらでお召し上がりですか?」と、何事も
なかったかのように接客した。  


おじいちゃんは静かな声で言った。  
「お姉ちゃん、エラいなぁ。
世の中にはさっきの人みたいに自分の思い
通りにならんかったら怒鳴り散らす人がいる。


あの人もなんか急いどったんやろう。


あんなこと言われてあんたの心はもうズタ
ズタのはずや。にもかかわらず次に並んど
るわしに笑顔で接客してくれた。


わしにはあんたくらいの孫がおる。あんたの
笑顔を見て、その孫を思い出した。


これから孫に連絡を取ろうと思う。いや、
ありがとう。あ、コーヒーを一杯」  


その言葉を聞いた途端、堰を切ったように
バイトの子の目から涙が溢れ出した。


ワンワン声を上げて泣き出した。


しばらく涙が止まらなかった。横のレジに
並んでいた中年の女性が声を掛けた。


「あんた、本当にいいお仕事してるわよ」  
刺々しかった店の雰囲気が、一瞬にして
和らいだ。  


言葉なんだなぁと思った。


何の関係もない間柄でも、たった一言で、
一生忘れられない人になる。


言葉には、言語としてだけではない、何か
すごい力があるんだと思う。


そんな言葉を発する人になりたいものである。











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